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【2024/05/16 14:51 】 |
ジョン・ハーシー 「ヒロシマ」

NYに住んでいた頃のこと。
ブルックリンブリッジとマンハッタンブリッジが三角形を成してブルックリンに入ってゆくたもと。ダンボ(Down Under the Manhattan Bridge Overpass)と呼ばれる一帯の中に、こじんまりした古本屋がある。少しイーストリバー沿いに出れば、映画やグラビアで見慣れた、ブルックリンブリッジ越しにマンハッタンを望むことのできる、あの場所である。

その古本屋に「Hiroshima」という、僅か100ページ余りの本があったので、手にとって見た。装填は相当古い。表紙は原爆投下から10分後に撮ったとされている、あの少し崩れたキノコ雲の写真である。

当時は、ジョンハーシーという著者名すら知らなかったが、何ページかめくってみると「Tanimoto」とか日本人名が記されており、単に「落とした側」の手記ではなかろうと言うことで、レジに持っていった。値段は3ドルだったか。元々の売値は50セントである。

内容は、詳細は避けさせていただくが、谷本清牧師の被爆体験を軸に、あの日、ヒロシマに居た何人かの人々の体験が同時進行的に描かれている。谷本清と言う、原爆の悲惨さをいち早く世界に広めようとした人物もまた、この本で知った。小学校の修学旅行で、原爆資料館を見て衝撃を受けてから、もう何年もヒロシマの情報には出来るだけ接しようとしていたにも関わらずである。

英語にもかかわらず、多分ヒロシマについての基礎知識の助けもあり、数日で読みきった。

原爆投下直後、まだまだ日本への偏見が大きく残っていたであろう、あの時期に、このような冷静な手記を残すことの出来た、アメリカの理性には拍手を送りたい。勿論、一方で、原子爆弾をシビリアンに対して実戦使用した狂気は許されるものではないが。

「ヒロシマ」が掲載されたThe New Yorkerは、大反響となり、一瞬で売り切れたと聞く。来るべき核の時代への不安がそうさせたのか、ニューヨーカーは今も昔もリベラルなのか。

引越を重ねたので多少ボロボロになってしまった。ここマイアミではこのような古本屋にめぐり合うことなど皆無であるが、NYに行くことがあれば、「保存用」のもう一冊を買っておきたい。

レジの初老の女性が、「This is really good.」と言ってくれたのは、耳について離れない。
アメリカの理性である。

 

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【2010/08/31 11:26 】 | 社会・経済 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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