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【2024/05/15 17:31 】 |
日本の人事管理

 以下のことは、いずれもっと組織論的な課題としてきちんと論じたいのであるが、いまは整理できていないので、酒場の愚痴程度の話になる。

 別に米国が何でもかんでも先進的であると言う気は無いし、米国もまた、タテマエとホンネの社会であることの一つの証拠でもあるのだが、米国の人事管理において、マニュアルの1ページ目で教えられるのは「Personnel Information(人事情報・・・職務記述書、業務目標、人事評価、賞罰履歴等)」と「Personal Information(個人情報・・・名前、生年月日、性別、住所、扶養の有無等々)」の峻別である。
 日本的な感覚でいえば人事情報の中に個人情報も包含され、閲覧権限を設けた上で厳重に管理され、悪用したり、漏洩させたりしなければそれで良いのではないかと思うのであるが、そうは行かない。それが何かペーパーになっているものであれば、物理的に別々にしなければならないし、システム内のデータベースであれば、今時の人事管理データベースは、人事情報から個人情報に移動する時に、必ず「あなたは個人情報を閲覧しようとしております。」「この画面は、重大な人事上の問題を引き起こす可能性があります」と言った類の警告メッセージが間に入る。 

 日本にいても、そういった人事問題の専門家でなくっても、カンの良いビジネスマンの方であればそれを何故米国がやっているか、理解いただけるであろう。
 訴訟社会であり、その訴訟を引き起こす起爆装置が遍在していることである。要は、人種、宗教、性別、年齢、軍歴、婚姻歴、経済状態等々に対し非常にセンシティブでなければならないと同時に、そういった方面で企業がミスをしでかすことを虎視眈々と狙っている連中がいることである。何よりも、日常の中で、ごく当然のようにそれらの違いに接して行かなければならないのである。当然住んでいる場所なども場合によっては、対応を間違えれば裁判のタネになる。住んでいる場所で、経済状態や民族グループが明確に分かれることもよくある話なのだ。

つまり、「Personnel情報」と「Personal情報」を峻別しておくことで、常に「会社は仕事と関係の無い個人の属性を基準にして差別的な処遇を行うマネはしておりませんよ。」というポーズを作ってガードを固くしておかなかければならないのである。

 それらを通り越して、ハラスメント行為(セクシャル関係だけではない)、を現実にやっちまったら、私が雇用管理担当をやっていた時は、現地採用社員であれば即解雇、日本からの出向社員であれば即時強制送還を運用ルールとしていた。幸いその大ナタを振るったことは随分前に書いた「デービッド君」関連の時が最初で最後であったが。大ナタは大きすぎて振るった者自身も傷つけてしまった。誰かが責任を取らなきゃならなかったのである。

 ま、それは余談として、久しぶりに日本に帰ってみると、日本企業は、日本人的には丁寧な経営のように見えて、国際人事管理的には何てガサツな経営をやっているのであろう、と思うことがたびたびあった。いやタビタビどころか、自分が米国において「禁止ワード検知機能」「危険話題には無表情となり、回避しようとする機能」をそれこそロボットみたいに半ば無意識で実践できるまで緊張して身につけてきたことが、毎日否定される思いであった。

 本当に訴訟を起すわけではないが、「これが米国の中間管理職が受けた処遇であれば、どんな訴訟が可能か。」リストを作って自分の後学に役立てようとも思ったが、馬鹿らしくてやらなかった。ま、覚えている範囲だけでも下記のような感じである。それぞれいちいち数えてはいないが、複数回以上、受けている。
○結婚していないことを仕事の不出来に結びつける
○住んでいる場所を仕事の不出来に結びつける
○「日本で」マンション・持ち家等の不動産を持っていないことを批判する(さすがにこれは腹が立った。海外派遣制度の不備、日本での長期的な財産形成に対する補償の不備を棚に上げてこの発言だから)
○特定の異性の社員とのありもしない関係に言及する。
○年齢、性別、所謂日本で一般的に言われるところの学歴、体型、血液型・・・ここら辺はキリが無い。

 似たような経験をした友人とは「いやー、これが米国なら億単位取れるなー。はっはっは。」と笑いあったが。

 それでも、9割の人たちは、どんな国であれ海外に出れば、「やってはいけないこと」を即座に理解し、問題なく経営を行えるわけであるが、残りの一割の人々が、時としてこのガサツな経営を日本の綿密な家族的な経営であると勘違いし、大騒ぎとなる。経営上のいろいろな局面(有名どころではQC活動とか)に対する暗黙知レベルの「こだわり」を現地社員に徹底するのと、社員の私生活まで踏み込んで意識改革を行おうとするのは、全く別物である。

以上、酒場の愚痴として。

 
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【2010/09/05 12:20 】 | 社会・経済 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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